坂本竜馬の時代検証番組があると言うので、急いで家路についた。
ところが内容を見てガッカリ。
構成はミステリー・ハンター風で、水先案内人は確か元宝塚の女優(芸能人の名前を知らないのでゴメン)の美人。スタジオのパネリストはバラエティーの女性や漫才コンビだった。
そんなことはどうでも良いのだが、内容は時代配分もアバウトで、脱藩から「いろは丸」事件に一気に飛んじゃうし、なにが検証したいのかまったく判らずじまい。内容もいささか独り善がりだったね。
笑っちゃったのが、竜馬は日本初の「ニート」だったって。笑うよね。江戸時代において、武士の家で長子以外の男の子はみんな「部屋積み」ってニートみたいなもんだった訳で、なれるものといったら剣術を磨いて町道場の先生ぐらいのものだった。特別に、竜馬だけってわけぢゃ無いのにこじ付けちゃってたよね。
さらに笑えたのが竜馬「ヒルズ族」説。「いろは丸」の事件で紀州藩から多額の賠償金を得たと言うのが根拠になっていたが、この船自体竜馬が金を出していた訳でもなく、伊予国大洲藩船籍で竜馬は単にレンタルしていただけなわけだ。
確かに胡散臭い商売と言う点では、ホリエモンと近いものがあるかもしれない。だが、竜馬には私心が無い。現代に竜馬が生きたら、決して六本木ヒルズには住むまい。なぜなら、彼は新しいもの(靴やピストル)好きだが既成概念嫌いだ。ヒルズ=金持ちなんて概念は笑い飛ばすだろう。
司馬遼太郎の「竜馬が行く」で脱藩して江戸へ向かうくだりで、竜馬は三菱の創業者・岩崎弥太郎に辻斬りされる場面がある。ここで、竜馬は弥太郎のうそを信じ有り金を与える。その後、生涯の子分となる「寝待ちの藤兵衛」からそれがうそであり遊郭三昧な生活を知り笑い飛ばす。
彼は金に執着が無かった。一方で金のありがたさや怖さを知っていたとなると、ホリエモンとは随分趣がことなると思うが。とはいえ、これも司馬遼太郎が作り上げたイメージだからなんとも言えぬが。
いずれにしても、期待はずれの番組ではあった。
何より、最後の暗殺場面で竜馬が刀を持っていなかったのが、中岡慎太郎との議論で興奮して友を殺傷することを恐れた為だと言うは笑える。このとき既に三岡八郎にも会い新政府の財務も固まり、竜馬にとっては安堵の状態だったと思う。
多くの人は竜馬の死を悼むが、彼は彼の仕事を成して召されたのだ。が一方で同じく暗殺された中岡慎太郎。彼はもっと生きて欲しかった。彼が生きていれば少なくとも、薩長土のバランスが崩れ明治が情念の長州で仕切られる事も無く、血塗られた昭和史も変わったかもしれないと思う中岡贔屓の*ほお*にはガッカリな番組だった。